やひろの心と体の健康ブログ

元理学療法士(リハビリの先生)のやひろが「心」「体」「社会」的な健康について発信するブログ!

運動で本当に頭がかしこくなるの!?

 

 

運動ばかりしていて、頭がかしこくない人を「脳筋」と例えることがあります。

ですが、運動の専門家である理学療法士の私としては聞き捨てなりません!

 

運動習慣は頭を良くしてくれます!(言い切ってしまった)

 

万が一、勉学に悩むサッカー少年がこの記事を読んでいるかもしれないので、注意事項をお伝えします。

「サッカーだけをしていたらテストの点数が上がるって書いてあった!ソースはネット!」

という勉強をやらない免罪符には使わないように心からお願い致します。

(ここだけの話、進〇ゼミをしていたら勉強と部活の成績が上がって、彼女ができるかもしれないらしいですよ。)

 

今回の記事は、「同じ勉強時間であれば、運動をしている方が効率的!」という話です。

 

運動の中でも推奨されているのが有酸素運動です。

有酸素運動=息切れしない程度で持続的にできる運動と認識してください。

(ランニングは息切れするので、有酸素運動ではないと捉えています。)

 

有酸素運動の具体例

・ウォーキング

・段差昇降

・エアロバイク などなど

 

有酸素運動を行うことで脳内の神経細胞から脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌量が増えるとされています。

BDNFは以下の役割があります。

・神経保護や成長

樹状突起の分化

シナプスの可塑性

簡単にまとめると「脳の神経細胞を強くする、増やす。」です。

 

脳の中で記憶を司る「海馬」でもBDNFの効果が期待されており、血液中のBDNF量と海馬容量の変化が有意に関連していたと報告があります。

 

では、一体どれくらい有酸素運動をすればいいのでしょうか?

 

以下に私見ですが、記載しておきます。

・運動強度は中等度(お喋りしながらできて、ちょっとしんどいと感じる程度が目安)

・時間は20分以上?(記憶力についてのデータを見つけられませんでした…。一般的に効果的な有酸素運動の時間です。)

 

ちょっと八尋さん、筋トレはどうなんですか?

 

それがですね…

筋トレ(レジスタンストレーニング)ではBDNF濃度が増大しないという報告があります…。

まだまだ研究数自体が少ないので、別の機序で脳に好影響を与えているかもしれませんね。

 

今回はBDNFと記憶力に注目しましたが、適度な運動は他にも良い効果ばかりです。

あなたの生活スタイルにあった運動習慣を作っていきましょう!

 

まとめ

有酸素運動によって脳由来神経栄養因子(BDNF)の分泌量が増える

・BDNFによって記憶を司る海馬の容量が大きくなる

 

参考文献

島田裕之:運動による脳の制御―認知症予防のための運動―.杏林書院,2015

あなたは健康ですか?不健康ですか?そもそも健康ってなんですか?

 この記事のテーマは「健康は人それぞれ。だから、他人の健康を笑うな。」です。

 

 あなたの健康と他人の健康は一致しません。

 

 香川県のゲームのプレイ時間についての条例が話題になりました。

 ゲームによって日常生活に支障をきたすのを防ぐため……という理由で発表されました。

 もちろん、ゲームのやり過ぎで体を壊す、学校の成績が下がることは良いことではありません。

しかし、その人にとっての日常生活・社会がゲーム内にあった場合はどうでしょう?

 ゲームを制限されることでコミュニティから除外されてしまうのであれば、それは社会的に不健康ではないでしょうか。

(わかりやすく極端な例を記しています。筆者は条例に肯定も否定もしません。)

 

 WHOで1998年にこのような健康の定義が提案されました。

 「健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」

 このように人間にとっての健康とは肉体面だけではなく、もっと包括的な概念なのです。

 

 では、何が「異常」なら不健康なのかという話しになります。

 そもそも「正常」と「異常」の線引きは何処でされているのでしょうか。

 

 生物統計学者のE・マーフィは「正常」という言葉の意味を七つ挙げました。

 ①正規分布の形をとる。

 ②その集団で最も代表的である、平均である。

 ③その集団で普通にみられる属性である、通常的である。

 ④生存に最も適している。

 ⑤とくに問題がない、無害である

 ⑥一般的に望まれているもの、慣例的・伝統的なものである。

 ⑦その集団の中で最も完全である、理想的である。

 

 医科学的側面での健康は「正常値・異常値」という属性によって判断しています。(③や⑤)

 この正常値という属性は「正常と考えられる集団の95%の人々が含まれる検査値の範囲」と定義されています。

 粗暴な言い方をすれば、どこかの偉い人達が統計を出して勝手に決めたのが「正常値」なのです。

そこに統計以上の意味はなく、価値観的側面は含まれていません。

(メタボや高血圧症の基準も時代によって偉い人達が変えています)

 

 「異常値」であっても「健康」だと思った例を紹介します。

 元中日ドラゴンズの投手 山本昌さんは利き手(左手)が真っ直ぐに伸びず、かつ60度以上曲がらないそうです。

 なので、ひげ剃りは右手だけでしているとか。

 山本昌さんは取材で「肘が伸びないことで、独特なフォームが生まれました。そのおかげか勝利を重ねることができました。」と語っています。

 肘がこれだけ動かないのはもちろん「異常値」ですし、「障害」です。でも山本昌さんは野球界で偉大な記録を達成されました。

(左手で飲み物が飲めないなど、支障が0ではないかもしれませんが……)

 

 このように「異常値」=「不健康」ではないのです。

 そして、本当の「健康」は数値で図れません。

 

 世の中のマイノリティな人達が平均値でないことに悩んでおられるニュースや発信を多く目にします。

 当人ではない筆者の言葉は薄ら寒いかもしれませんが、「異常値」であることは数字以上の意味はないのです。

 その「異常値」に対してどう価値判断するかが問題なのです。

 「異常値」であることが「不健康」や「不幸」ではないことを皆が気付くことを心より願っています。

 

 

まとめ

健康とは価値観のことであり、医科学的側面と価値観的側面の両立によって維持されます。健康は個々人の社会的属性・人的属性によって異なり、変化します。

 

 

追伸

筆者の身長は155cm(健康体です)で、男性の平均身長は170cm程です。

おそらく筆者は成人男性身長界ではマイノリティ……

あまり困ったことはないんですけどね笑